
RECRUIT
ヒップな趣味の
いろんなスキルを持つ
人たちが集まる場
アパレル、雑誌編集、デザイン、ウェブ…
業種はさまざま、でも大事なのは
同じヒップな趣味をシェアできること。
株式会社ライノ
代官山のやや外れ。もと製図学校だったという、ヴィンテージ感漂う社屋のビル。その中にウェブの雑誌「フイナム」と紙の雑誌「フイナム・アンプラグド」の編集部、デザインチーム、ウェブ制作チーム。クリエイターのマネージメントチーム。そして、営業と管理のチーム。と、いろんなチームの、実に50名以上ものスタッフがひしめく。この光景こそがまさに、ファッション、カルチャー、ライフスタイルのさまざまなことを仕掛け、発信する「株式会社ライノ」らしさにつながっている。
いろんな看板を掲げ、
いろんな業界を横断する。

▲代官山にある3階建ての自社ビル、1階にスタジオと会議室、2階にウェブやデザインチーム、3階に編集チームが在籍する。
「たとえば『フイナム』の取材でどこかに行って、御社って人数多いですよね?と聞かれて。うち『ホワイトマウンテニアリング』もやってますというと、えっ知らなかったです!とびっくりされる方もけっこう多いですね」
というのは『フイナム』の編集スタッフ、中田さん。そこに続けるのは、代表の蔡 俊行さんだ。
「確かに、そっちのほうが看板にはなっている。ポートフォリオじゃないですけど、『ライノ』という会社の名前よりも、むしろ知られてますよね」
▲写真をセレクトしたり、デザインラフを作成したり。iPadを使って編集作業をする代表の蔡 俊行さん。
この「いろんな看板を掲げ、いろんな業界を横断している感じ」は、蔡さんのそもそもの成り立ちが、そのまま会社のかたちになっているから。
「もともとはファッション業界で、服を紹介したり、コーディネートする仕事でした。その地続きで出版に入ったんですが、編集の仕事がおもしろくて。自分に向いてたんでしょうね。そのうち販売促進に関わる仕事もやるようになるようになって、コピーライターをやったりして。編集プロダクションを立ち上げたのが前身の『ハッスル』という会社。そこで3人のスタイリストと一緒にやってて、95年くらいかな?アパレルも始めたりして、『ライノ』につながっていくわけです」
共通の趣味が
仕事のシナジーをもたらす。
▲細長い空間に、ずらりとデスクが並ぶオフィスの風景。分け隔てのない、自由な雰囲気が漂う。
新しいコトをはじめれば、当然一緒に働くスタッフも必要となる。最初は4〜5人から始まったのが、今は10倍にもふくれあがる。
「いろんなことができるというよりは、それぞれ専門業務のスタッフを集めている感じですね」
と、蔡さん。彼らの特徴をうかがうと「趣味」という言葉がたくさん出てきた。
「雑誌が好きとか、ファッションが好きとか、音楽が好きとか、映画観るのも、本読むのも好きとか。全部は少ないけど、どこかに共通点はある。さらに言うと、音楽でもJ-POPよりも洋楽、古典美術よりロックなアートとか。それは会社の文化というよりも、僕に近い趣味の人間が集まってくる。それが媒体やブランドの特性にもなってますしね」
同じ趣味を持つ人達で働いたほうが、会社としてというよりも、単純にグループとして楽しいですよね、と蔡さん。中田さんも隣で大きく頷く。

▲「フイナム」の編集スタッフ中田さんいわく「社会人としてのルールに厳しい体育会系なところもあれば、ラフで楽しいところもあって、ハードとソフトが混じり合っている感じ」
「共通の趣味があると、仕事終わって夜いっしょに遊びに行くとか。そういうつながりは多いかもしれないですね」
さらにそれは、仕事の上でもよい効果をもたらしている。中田さんは続ける。
「いろんなジャンルの、いろんなスキルを持つ人がビルの中に集まっているので、自分が知らない分野の興味のあるいろんなことを聞けるし、仕事の相談もできる。コミュニケーションがとりやすいですね」
たとえば編集の仕事をやっていても、デザインのことは知っておくべきだし、ファッションのこともしかりだろう。そうして全部がつながって、情報や知識をシェアしあうことで、おたがいがより成長する。そんな醸成した空気がここには流れている。
蔡さんが、これまでの仕事や働き方を通して、つくづく実感しているのは、(やっぱり)「努力」は「好き」に勝てない、ということ。
「同じ『フイナム』のページをつくるにしても、特集のテーマを好きな人が集まって、好き勝手やってつくるのと、がんばって勉強してつくるのとを比べたら、やっぱり前者のほうがいいんです。だから僕らも同じものが好きな人を求めているし、そのほうが、おたがいハッピーになれる」
未来の雑誌文化を
育てていきたい。

▲ヒップなファッション、カルチャー、ライフスタイルウェブマガジン、HOUYHNHNM(フイナム)と、「電源のいらないフイナム」を標榜する雑誌「HOUYHNHNM Unplugged(フイナムアンプラグド)
蔡さんがウェブマガジン『フイナム』を始めたきっかけは、編集プロダクションとして、ある種の限界を感じてしまったから。
「やっぱり受託仕事なわけです。自分たちで発信していくためには、自社の媒体が欲しい。ただ雑誌は今後減っていくだろう、という中でのウェブだったんです」
なんでもそう。あたらしい大きな試みには、大きな試練がつきまとう。当初はビジネス面においても厳しい状況を強いられていたものの、8年めくらいからめどが見え始め、さらに逆にウェブから紙の雑誌『フイナム・アンプラグド』を立ち上げる(!)という、まさかのウルトラC難度の展開を実現。長年にわたり撒いた種が今、少しずつ花開こうとしている。
「やめなかったのは、将来の雑誌文化を育てていきたいから。これからは他の媒体もふくめて、雑誌とウェブの両方で情報を得るという習慣を浸透させて、みんなでマーケットを広げていきたいですね」