
RECRUIT
人の味を生かし、
束ねて生み出される
眺めのいい風景。
家具や雑貨、コーヒーから住宅まで。
生活をとりまく場やモノやコト、
ぜんぶ近くにある、生活のような仕事。
有限会社ランドスケーププロダクツ
チームだからこそできること、叶う楽しさ、生まれる醍醐味、映し出される風景。それはひとりひとりの個性を放ちながら、同じ感覚を共有することできっと、より美しく、豊かになる。「ランドスケーププロダクツ」の中原慎一郎さんは、感覚値としてそれを知っていて、ここで働くみんなにも、気づいて欲しいと願っている。ひとつの器を選ぶのも、椅子を作るのも、それを売るのも、コーヒーを淹れるのも、料理を作るのも、人が暮らす場をデザインするのも、イベントをするのも……。彼らが取り組む、めくるめく多岐に渡る仕事、ぜんぶそうだと。
はじめから
スタッフに任せる。
一緒に体験する。
▲ランドスケーププロダクツが経営するいろんなお店が全部近くにある、千駄ヶ谷のヘッドオフィスの風景。
「チームでやるって、こんなに楽しいんだなと。それぞれの持ち味があって、なにかひとつのプロジェクトに取り組み、解決していく過程。ひとりでやるのとは違う面白さがあるんです」
店舗や住宅のデザインや設計、インテリアショップ、飲食店の運営などを手がける「ランドスケーププロダクツ」の代表、中原慎一郎さん。氏が友人ふたりと会社を立ち上げたのが、2000年代始めのころ。
「実家が仕出し屋みたいな商売をしてて、小さい時から人に囲まれて育ってきたんです。大勢でやるのに慣れてたし、興味があったんだと思います。自分がアーティストとかデザイナーになるなんて、考えたことなかった」
雑誌などのメディアにもひんぱんに登場する中原さん。クリエイターやアーティストのようにとらえている人も多いだろう。

▲メゾネットになったオフィスの上の階は、ミーティングスペース(写真上)と中原さんのデスク(写真下)がある。いろんなものが雑然と、ぎっしりと(お宝含む)。
「表向きはそう見えるけど、僕がひとりでやってる仕事はほとんどない。担当がいて、チームがいるので。自分の本を出すとなった時のタイトルも、自然と“僕らの”と、“ら”がついちゃう」
例えばお店で扱う、あたらしいアーティストを見つけてくるのは中原さんの役目、だとしても。
「そこから仕入れて、お店に置いて、販売する、ほとんど最初からスタッフに任せます。極力一緒に連れていって、共感や体験をさせる。自分の出会いとしてとらえて、自分の言葉で伝えて欲しいので」
他の人がかかわることで、中原さん自身がやりたいこととのギャップやバイアスがかからないのだろうか?
「それはそれで楽しんでますね。お店でいうとやっぱり生き物なので、働いている人の個性が生きるようにしたい。じゃないと、いい仕事が出てこないと思うんです。飲食店のメニューを決める時でも、スタッフの彼らが得意な料理があって、それで美味しいのができるなら、そっちのほうがいい」

▲誰もがイキイキ、キビキビと働き、自分の言葉で話すスタッフたち。カフェ「tas yard」(写真上、下右)と、コーヒーショップ「BE A GOOD NEIGHBOR COFFEE KIOSK」(写真下左)。
では、独立を前提に会社に入る人も?
「それがほとんどですよね。自分も趣味で始めたような会社だから、ずっといたいと思ってる人がいるとは思ってない。いつか自分で何かしたいと思ってるのが当然だと思ってます」
それぞれが個性を発揮しながら、しかるべき持ち場にいる。なのに全体を見渡すと、ひとつの「らしさ」が浮かび上がっている、という不思議。
「その、束ねた感じがうちらしくなってるのかも」
しっかりと働き、
生活を楽しむ。
よき隣人たちとともに。

▲カフェ「tas yard」の軒先にある小屋では、国内外問わず、クオリティの高い食材や新鮮な野菜などを売る「GOOD NEIGHBORS’ FINE FOODS SHOP」が。
本社のある千駄ヶ谷界隈には、インテリアショップ「Playmountain」、カフェ「Tas Yard」、食のセレクトショップ「GOOD NEIGHBORS’ FINEFOODS」、ベトナム料理店「Pho 321」、女性のクラフトとファッションを取り扱うなど系列店がぐるりと取り囲む。そして、そのちょうど真ん中あたりに位置するのが「BE A GOOD NEIGHBOR COFFEE KIOSK」というコーヒーショップだ。

▲今や界隈の働く人たち、暮らす人たちみんなにとっての良き居場所であり、千駄ヶ谷のランドマークにもなっている「BE A GOOD NEIGHBOR COFFEE KIOSK」。
そう、このBE A GOOD NEIGHBOR(よき隣人であれ)というフレーズは、まさにランドスケープのアイデンティティをよく表している。
「まず自分が、あんまり離れていると、ちょっとコーヒー買いに来て、声かけてができないので、極力距離感は近い方が。ただそれだけじゃなく、お互いジャンルの違う人間が近くに集まっていることで生まれる、同じ意思みたいなものはあって」
「コーヒーショップは8時半から開けているので、スタッフもそこに寄ってから仕事場に来る。あと野菜も売ってるんですけど、ひとり暮らしでも作りやすいメニューをスタッフが教えたり。そうすると、早く家帰って料理しようってなるじゃないですか。ただ働くというより、ある意味生活を楽しむっていうような」
街の中で自分たちはどういう位置にいて、つくるものでどう景色を変えたか。
自分たちが入ることで、景色をもっとどうよくしていけるのか。
みんなが近くにいることで、そんな“ランドスケープ(景色)”としてのミッションを自然に共有できている。
みんながハッピーに
なれる場と環境づくり。
▲毎夏、鹿児島の森の中にある廃校で、クリエイティブな活動を楽しむ参加型のフェスティバル「GOOD NEIGHBORS JAMBOREE」。
さらなるランドスケープの大切な役割が、みんながハッピーになれる場と環境づくり。その象徴とも言えるのが、中原さんの故郷である鹿児島のプロジェクト。地域を盛り上げるさまざまな企画プロデュースを行ってきた氏が「これはただの音楽フェスじゃない。すごくハッピーが空気が流れてる」と太鼓判を押すのが「GOOD NEIGHBORS JAMBOREE」。ものづくりをする仲間たちが集い、ボランティアとなっていろんな催し物をやるイベントだ。
さらに挙げてくれたのが、つくり手やメーカーたちによる業者向けの展示会「FOR STOCKISTS」。インテリア、ファッション、雑貨など、さまざまなジャンルながら、あるセンスとテイストが約束された「同じ匂いと空気を持っている」作り手たちが全国から集まる。現在は一般的いわゆる大規模の展示会とは一線を画した、ファミリー的な展示会。
▲あたらしいかたちの展示会「FOR STOCKISTS」2017年版ウェブサイトのトップページビジュアル。毎年9月、池袋「明日館」で行われる。
「これが商売のベースになった人は、すごく多いと思うんですよね。みんなそれぞれ地元で、自分たちのコミュニティーを作りながら、流通を、地元らしさを考えるきっかけになった。全国どこ行っても知り合がいて、仕事ができて、面白い作家さんとかをお互いに紹介できるようになって。また年一回集まって情報交換して。圧倒的な連帯感もあるし、いろんなことが生まれているのをみると、あれは他の国にはないなと。流通の革命になったのではないかと思いますね」
そして最新のトピックが、アメリカで会社をつくったこと。
「単純に、日本のものをアメリカにもっと紹介したい。あとは向こうで生まれた日系人アーティストのものづくりも興味があります。僕らがいることによって、日本のつくり手は海外に出て行って欲しいし、向こうにいる人は僕らに知り合うことによって、より日系人として生まれた意味について、もっとクリアにして欲しい。
アメリカだとニューヨークがどっしりあるけれど、西海岸みたいな面白いところもあって、Appleという会社も生まれている。今の日本では、東京以外でそれが起こるかっていったら、起こらないと思うんです。だから僕らは、素晴らしいものが生まれる環境をつくっていきたいし、日本にもそういう気持ちを植え付けるために、もっといろんなもの見て、価値観を洗練させていく。日本古来のいいものは残しつつ、向こうのマインドでいいものがあるので、そこから学べたらいいかなと」
最後に、どんな人が欲しいですか?と単刀直入に聞いてみた。
「わくわくするような人材であること。いい意味でくすぶってるなぁと思う人。すると『ここに入れたら、こういう風になるだろうな』って空想ができるから。僕自身が眺めていて景色が浮かぶような人。それを自然に、自分でそうなりたかったんだって思えるように準備をしてあげる。フォローしてちゃんと組み立ててあげたり、危険を察知したり、それもひとつの仕事ですよね。スタッフのサポートに回るような感覚ですよ。だから僕は、スタッフの副社長みたいな存在だよなって。それくらいのスタンスのほうが、僕は楽です」